会について 

 顔ぶれがすこしずつ変わりながら、20年以上にわたって(注:2002年現在)ヘーゲルをドイツ語原書で読んできたのが、「ヘーゲルを読む会」です。

 隔週木曜日の夜、十名前後の会員が集まってなにをやってきたのか、と、来し方をふりかえると、以下の三点がおもな活動内容だったといえるような気がします。

  一、ヘーゲルのドイツ語を一行一行丁寧に読んでいく。

  二、ヘーゲルの思想に照らして現代の問題を考え、逆にまた、二十世紀末、二十一世紀初頭という現時点から十九世紀前半のヘーゲルの思想をとらえなおす。

  三、ヘーゲルを読むという共同の営みを土台としつつ、会員個々人のものの見方や考え方をぶつけあう。

 出席者の全員にドイツ語を半ページから一ページ訳してくることが課題として与えられます。ドイツ語に慣れた人は自分の当番以外の所も訳してきます。

 当てられた人がまずドイツ語を音読し、つづいて日本語訳をし、訳のよしあしをみんなで検討し、難解な箇所についてはそれぞれが自分の読みかたを提案し、一人分の訳がおわったところで、そこでヘーゲルがいおうとしていることについて各人が自由に疑問や異見や反論をだす。そんな形で会は進行します。一回に読むのはズールカンプ版で六ページが大体のめどですが、討論を重ねながら六ページを読むには二時間半という時間は十分とはいいにくく、最後のほうはかけ足になることがよくあります。

 おわって、近くの居酒屋で飲み食いしながら雑談に興じますが、ぐっとくだけた酒席での歓談では、各自の生活意識や人となりが見えてきて、これまた楽しいひとときです。

 『精神現象学』を読みおわって、『法哲学講義』を読むにあたり、インターネットを通して新会員を募集することになりました。ヘーゲルをドイツ語で読み、ヘーゲルについて幅広く、多面的に考えたい方の参加を望みます。

                                      
長谷川 宏